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大自然に負けない力強さ|旧野首教会【五島列島の旅 10】

野崎島をしばらく歩き、いよいよ見えてきた旧野首教会。ここでまさかのミスに気づいたのです……。

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旧野首教会

堂々とした姿

鹿に出会った場所からすぐ、旧野首教会が見えました。遠くに、ポツンと。

見渡す限り高い建物は一切なく(そもそも建物がほとんどなく)、大きく広がる青空。力強い日差し。その足元に広がる大地と木々。壮大な自然の中で、それらに全く負けない存在感が遠くに見える小さな教会に感じられたことに、本当に驚きました。

島民の信仰の象徴として、おそらくは島の最も良い場所に建てられたであろうこの教会。

今は使われていないはずなのに……礼拝をしに来る人はいないはずなのに、寂しげな気配は見せずとても堂々としているのです。

赤いレンガ造りの教会は、その後の旅でいくつか見学しましたが、旧野首教会が一番美しく、見えないパワーを発しているようでした。

コントラスト

レンガ積みの赤色と、窓など部分的に使われた白色とのコントラストが、青い空によく映えます。

内部は小さめながらきれいに保存されており、ステンドグラスを通して差す強い日光が室内を明るく照らしていました。木製のリブヴォールト天井を見たのは初めて。丸柱も、祭壇前の木の柵も、高台に建つため光を遮るものがなく、はっきりと照らされます。

室内でもまた、白い壁や天井の「面」と、天然木の造作が生み出す「線」は、実に魅力的なコントラスト。手彫りによる細部の作り込みもすばらしい。この教会も鉄川与助の設計施工によるそうです。

ついに1908年(明治41年)10月、教会建築の名工・鉄川与助の設計施工による野首教会が完成します。総額はおよそ3,000円。現在のお金に換算すると2億円ほどの価値があるといわれています。「たった17戸の集落で、これほどの資金を払う事が出来るのか?」工事に関わった人々の中には不安を感じる人もいたそうですが、信者たちは落成の日、1円のの不足もなく現金で支払いをしたといわれています。
旧野首教会 | おぢか島旅| 長崎県五島列島・小値賀町の観光情報公式ホームページ

★上記HPで内観写真が見られます。

もちろん旧野首教会に限った話ではありませんが、キリスト教信者の強い信仰心が教会という形になって現れていることが、間接的にその美しさからも感じ取れます。丁寧に建てられ、大切に維持されているのだなぁと。

失いたくない静寂

空気は、今までになく静か。

私たちが見学した時にはほかに男性二人組がいて、後から何人か入って来ました。野崎島はアクセスが難しいわりに、観光客が多いようです。

世界遺産に登録されたらこの美しい自然や鹿の暮らしも一緒に失われてしまって、この島や教会の魅力が半減してしまうのではないかと、とても心配になりました。それほど今の野崎島の状態は素晴らしかったのです。

まさかのミス

フィルムが止まらない?

フィルムのカウンターが「37」になりました。

……のに、いつもの「終わり」の感触(これ以上巻き上げられない感じ)がない。

あれ!?と、もう一度シャッターを切ると、まだ切れる。

……これは……。

気分は真っ青。

巻き取れているのか

結局40枚(カウンターの最後)までシャッターを切ることができ、そこからさらに何回か切ったら「終わり」の感触がありました。

で、巻き取ってみる。……と、フィルムを巻き取る重みがない。スカスカ。軽い。

実は、海上タクシーに乗っているときに巻取り部分のパーツが外れてしまい、手探りで直したという経緯がありました。だから、写真自体は撮れているけれど巻取りが壊れているのか?と、まず思いました。

しかしいつまで回してもスカスカなので、最悪この1本フィルムがダメになってもしょうがない……と考え、フタを開けました。すると、フィルムのベロは中に入っている

これはつまり、うまく巻き取れたのか?

結局写っていなかった

新しいフィルムに交換して恐る恐る撮影してみると、コマを送る時に「きちんとフィルムを送っているな」という”重み”がある。音もなんとなくそれっぽい、うむこれは撮れているな大丈夫、と安心するも束の間。

さっき撮影していた時にこの感触はあっただろうか?

結果、この悪い予感は的中。先程の1本は現像しても何も写っていませんでした。

おそらく最初に(観光案内所で)フィルムを詰めた際にうまくセットできていなかったのだと思います。野崎島に興奮しすぎていて巻き上げのスカスカな手応えに気づかず、撮影を続けていたらしい……。

こういうことがあるからフィルムって怖い!

★フィルムカメラを使う際は初心に戻って気をつけます!
これからフィルムカメラを使うために知っておくべき10の基本ルール! | Amazing Graph|アメイジンググラフ

+ + +

というわけで、この記事と一つ前の記事で使っている写真は実は「やばいな、もう一回同じ写真一応撮っておこう」と再度撮ってまわった写真なのです……。まぁ、撮っておいてよかったというべきかしら。


後ろから見た旧野首教会。大地と海を見下ろしている。この島の生命たちを守っているかのよう。

さて来た道を戻ります。

10時半。約束の12時までまだ少し時間がある。


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INFO


旧野首教会
長崎県北松浦郡小値賀町野崎郷
見学時間:9:00〜14:00
※小値賀島からの定期船運休日は見学不可。必ず事前連絡を!
ご来島の前に | おぢか島旅| 長崎県五島列島・小値賀町の観光情報公式ホームページ


※掲載している情報は2018年時点のものです。訪問の際には必ず最新の情報をご確認ください。

【この記事で使用しているカメラ/レンズ/フィルム(左下に透かしのある写真)】
Nikon F3+Nikkor 28mm f/2.8+Fujicolor C200

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