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五島列島初上陸!【五島列島の旅 01】

「五島列島の旅」は、2018年5月に旅行した長崎・五島列島についての旅行記です。五島の魅力を伝えられるように、ゆっくり書いていこうと思います。目次(記事一覧)はこちらからどうぞ。

土砂降りの雨でスタート

5月3日、2018年のゴールデンウィーク後半戦の初日。早朝の東京は土砂降りの雨でした。

旅の始まりというのに濡れながらキャリーをひいて駅まで歩く気にもなれず、スマホのアプリでタクシーを捕まえ、京急蒲田駅まで。

始発の電車はそこまで混んでいなかったけれど、途中の駅に停車するたび、明らかに旅行客と思われる人が乗ってきました。浮かれた装い、大きなスーツケースを足元に置いた人たち、高揚した気分で互いに会話をしているこの景色は、毎朝の通勤電車と明らかに違う。これから旅行かあ、と感慨深い気持ちでした。


私たち夫婦は休日の少ない仕事をしているので(有給とかいった概念があまりない)、社会人になって以降、帰省以外の旅行をほとんどしてきませんでした。飛行機に乗ること自体が二人共5年ぶりぐらい!

ソラシドエアで長崎へ

羽田〜長崎は1日4便

今回利用したフライトは、往復共にソラシドエア(九州メインで航路を展開している航空会社)で、6:55羽田発→8:50長崎着のSNA031便です。


航空券 予約/空席照会/運賃案内|ソラシドエア

ちなみに2019年6月時点で、東京〜長崎間の時刻表は以下の通り。往復ともに1日に4便です。朝イチの便は羽田に近い人でないと難しいですが、2番目の9:50発の便は使いやすそうです。


出典:ソラシドエア

航空券の予約を確定したのは、3月半ばのこと。連休中のメジャーな時間帯(往路3日の早朝出発→復路5日の深夜着。6日はゆっくりしたいという心理)だったので、この時点で航空券価格はかなり高騰気味で、ギリギリのタイミングだったかもしれません。時間をずらすとぐっと安くなるので、自由業の方がうらやましい……!

航空券を探したのは使い慣れているスカイスキャナーで、実際に予約したのはさくらトラベルというサイト。さくらトラベルは初利用だったけれど、対応が早く、何回かの変更にすぐに対応してくれて印象がよかったです(夜でもすぐにメールの返信くれて驚き)。

GWの羽田も早朝は空いている説

ゴールデンウィーク!!

……と身構えていたら肩透かしをくらうほど、羽田空港は空いていました。搭乗手続きも一切並ばずにできてしまって、拍子抜け。早朝だったからでしょうか。

空港とはいえ、7時前の時間帯はまだほとんどの飲食店が閉まっています。

シャッターを上げたばかりのANAショップで、朝ごはんに駅弁もとい空弁を買うことに。夫は豚丼、私は柿の葉寿司(ふたりとも朝からガツガツ食べられる派)。そして、これまた開店早々のスタバでカプチーノを買い、整備される飛行機を眺めながらすすっていると、隣の人はもうこくりこくりと眠りに落ちているみたい。

さほど待たずに搭乗時刻が来ました。座席に腰を落ち着かせると、私も静かな睡魔に襲われて、機内ではガイドブックも全く見ずに熟睡。毎度々々「予習は飛行機の中でしよう」という思惑はたいてい叶わない……。

五島ガイドブックの本命はコレ

01 地球の歩き方JAPAN 島旅 五島列島 (地球の歩き方JAPAN島旅)

01 地球の歩き方JAPAN 島旅 五島列島 (地球の歩き方JAPAN島旅)

  • 作者: 地球の歩き方編集室
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド・ビッグ社
  • 発売日: 2018/02/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログを見る

買ったガイドブックはこの一冊のみです。

五島列島メインのガイドブックはこの本以外にほぼないので、五島を旅行する方は必携。長崎市メインで小さく「五島」って書いてあるやつだと、情報量が足りないのでご注意を。

五島列島のマップやそれぞれの島へのアクセス、島ごとの違い、全教会リスト……等々、五島初心者には欠かせない情報が一冊にまとまっています。適宜ネットで最新情報を補う必要はありますが、まず買って損はないです。

経験してわかったことですが、五島列島は島ごとに自治体が分かれているため、五島列島全体を網羅した観光サイトという存在がないのです。だから、アクセスを調べようにもあっちこっち見て訳が分からなくなってしまうので、ガイドブックが基本情報を得るのに最も有効だと思いました。

五島市観光協会|ようこそ長崎県五島市へ
↑五島市のサイトには、福江島、久賀島、奈留島などの情報が。

五島列島|新上五島町を楽しく旅する情報サイト
↑新上五島町のほうには、中通島、若松島などの情報が。

(それぞれ自分の自治体の範囲の情報しか、載せてないんです)

もう中古でしか手に入りませんが、教会に興味のある方は以下の本も写真がきれいでおすすめです。

長崎の教会 (NHK美の壺)

長崎の教会 (NHK美の壺)

最近(2019年現在)は世界遺産登録の影響もあってか、少しずつガイドブックが増えているようですね。こんなのとか。

るるぶ五島列島 奄美 九州の島々 (るるぶ情報版)

るるぶ五島列島 奄美 九州の島々 (るるぶ情報版)

私は買っていないのですが、この雑誌も内容が充実していそう。欲しい。

島へ。 Vol.96 2017年 12月号 [雑誌]

島へ。 Vol.96 2017年 12月号 [雑誌]

長崎に上陸

約2時間空を飛んで、長崎空港に着きました!

手続きは一瞬。人もかなり少なかったです。

……いや、全然人がいなかった、というほうが正しいかな。これがゴールデンウィーク?とこれまた拍子抜け(この旅は、その後もひたすら観光客が少なかったです。人が多いのが苦手なので良かったけれど)。

市内へはリムジンバスが便利

9時15分発のリムジンバスに乗って空港から長崎市内まで移動。

リムジンバスの乗車時間は40分ほどで、途中はほとんど停車せず大波止というバス停で降りました。初上陸の長崎、なかなか雰囲気が良い街!

長崎空港から市内までは、リムジンバス(正式名称はエアポートライナー)が便利です。

片道900円ですが、往復で買うと1600円(片道800円)になるのでちょっとお得。予約はできませんが、10〜20分に一本出ているし、空港を出てすぐの券売機で買えて時間はかかりません。

五島列島へ渡る場合は「大波止」で降りると船のターミナルが近いので、大波止に停まる「出島道路経由便」というのを使いました。

時刻表など詳細は以下のURLにて。
長崎空港線エアポートライナー Nagasaki Airport Liner | 長崎バス

参考までにどの程度の時間で移動したかというと、8:50長崎空港着、9:15バス乗車→10:00頃バス下車、11:30長崎港発のジェットフォイル。トントン拍子でいけば余裕でした。

本当は市内の大浦天主堂に寄りたかったのですが、キャリーケースをひいて山の上に登るのはしんどそうだったし、時間があまりなかったので中止。

その代わりに意外と寒かったので、目の前にあったショッピングモールのユニクロへ。たった二泊三日の貴重な旅、その最初の目的地がユニクロだなんて、どこかの誰かに申し訳ない気分になります……が、まるで海外で吉野家を見つけたときのような安心感に(早くも)包まれながら、ユニクロの店内をテンション高めで物色。

夫が折りたためるパーカーを購入しました。その後もわりと朝晩は寒く、私は持参したユニクロのダウンを羽織ることも。東京より少し寒いくらいで、5月だと軽い防寒具があった方がよさそうです。

いよいよ島に渡る

ジェットフォイルで奈良尾港まで

長崎港ターミナルまで、徒歩5分。

ターミナルの建物がなかなか前衛的だなぁと思い調べたら、建築家・高松伸による設計だったので妙に納得です。


ジェットフォイルは11時30分発。あらかじめネットで予約してあったので、予約確認メールのスクリーンショットを見せ、全ての工程分のチケットを発券してもらいました(帰りに福江港から長崎港に乗るときは発券に並んでいたので、最初にまとめて発券したのはよかったと思います)。

行きのジェットフォイルは満席だったから、予約していないと乗れなかったということ。

(でもその割に島には人が少なかったのはなぜ?)


↑ジェットフォイル「ぺがさす」とご対面


↑いよいよ乗船!

長崎港から五島列島へ渡る方法として、一番本数が多くて利用しやすいのが、九州商船のフェリーとジェットフォイルです。


九州商船株式会社(公式ホームページ)
↑インターネット予約で座席指定までできて便利。

五島で1番大きな街がある福江島(福江港)行きがメインルートで、途中で中通島(奈良尾港)を経由します。私たちは中通島に先に渡ったので、長崎港→奈良尾港のルート。

フェリーだと福江港まで3時間、2320円(2等の場合)。ジェットフォイルだと1時間半、5730円(※往復割引あり)。まさに時間をとるか金をとるか…といった感じ。

+ + +

長崎市から五島に入るほかのルートは、船なら五島産業汽船で中通島へ、飛行機ならオリエンタルエアブリッジで福江島へ、という方法もあります。他にも佐世保や福岡からのルートなど各社で多種多様にあるし、島と島の移動も含めて計画するとなると、ガイドブックでの理解が欠かせません。

奈良尾レンタカー

ジェットフォイルは1時間かそこらで奈良尾港へ到着。新幹線のような座り心地が快適で、酔うことはあまりないと思います。

港に降り立つと、「奈良尾レンタカー」の看板を持った夫婦が立っていました。

レンタカーはすでに予約してありました。こちらの名前を名乗ると、すぐ目の前の駐車場まで車を持ってきてくれたとのこと、その場で免許証を見せて手続きを。

+ + +

カーナビの使い方を説明してくれた奥さん。

奥さん「どこか行きたい所はありますか?
私「近くの桐教会に行きたいんですけど……」
奥さん「中通島の教会は全部登録してありますよ!

と、登録地点リストの使い方を教えてくれました。

この機能、地味だけど教会めぐりにものすごく便利でした。リストの中から教会が探せるのもさることながら、走っていると★印が地図上に出て「あ、近くに教会があるから見てみようか」ということも。ドラゴンボールのレーダーって感じ(笑)

後に福江島に渡った時に実感しましたが、ガイドブックの情報を頼りに教会をナビの目的地に設定するのは、なかなかに困難です。電話番号も住所も詳細にわからないことが多く、結局ナビの地図をいじって手動?で設定していました。

パンフレットも色々いただき、さらに、世界遺産候補の頭ケ島教会へ行く際には事前連絡が必要ということも教えてもらいました(ガイドブックにはない情報)。とても親切でいい雰囲気のご夫妻です。


さあいよいよ、桐教会へ!


INFO


奈良尾レンタカー
TEL: 0959-44-0364
奈良尾港から少しだけ離れた場所にあります。Webサイトはなく、電話で予約。港につく時間をあらかじめ伝えておくと迎えに来てくれ、帰りは港まで送ってくれました。夫婦で経営されているようで、あたたかい雰囲気が素敵。島のレンタカーは少ないので早めに予約が必要です。
※掲載している情報は2018年時点のものです。訪問の際には必ず最新の情報をご確認ください。

↓つづきはこちら
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【使用しているカメラ・レンズ・フィルム(左下に透かしのある写真)】
Nikon F3+Nikkor 28mm f/2.8+FUJICOLOR C200

五島列島の旅|目次(記事一覧)はこちら

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ティカル遺跡でジャガーの目覚める声を聞く【グアテマラ旅行記26】

フローレスの朝は早い。

ティカル遺跡へのツアーは、一番早いもので午前3時発、それから4時半発、5時発…と続く。私は午前3時発の「日の出ツアー」に参加した。

余談ですが、スペイン語で早起きすることを「マドルガール(madrugar)」と言います。なんか「まどろむ」って感じだよなぁといつも思う。

ティカルはかつて、マヤ文明の中心となる大都市だった。紀元4世紀〜9世紀ごろにかけて繁栄し、その後衰退してしまったが、今ではグアテマラの国立公園に指定されている。広大な土地で公園というよりはジャングルの中に建物(遺跡)が点在する。ティカル遺跡はマヤ文明の最高峰といわれる遺跡。世界遺産にも登録されている。


車でティカル国立公園に着いた私たちツアー客一行。

まだ真っ暗なジャングルの中を進む。完全に真っ暗なので懐中電灯がないと何も見えない(写真も撮れない)。早起きしたせいもあって、足がいつも以上におぼつかなくて何度もつまずいて転びそうになる。

ティカル遺跡の(たぶん)一番大きな神殿に登って、みんなで日の出を待つ…

が。

曇っている。

曇っているなりに夜が明けてきた。

そして、雲の向こうで日の出を予感。

…結局、日の出らしい日の出はまったく見ることができなかった。他にもツアーに参加したという人で見えなかった人の話は聞いたし、あとでグアテマラ人に聞いたら「見れたらラッキー」程度のものらしい。ちょっと残念。

でも朝の涼しいうちに見学を終えられるという意味でも、早朝ツアーはなかなかよかった。

こんな風に、階段の上にみんな腰を下ろして日の出を待った。

見渡すかぎりの緑!!こんな風に森を見下ろすこと、なかなかないと思う。しかも鳥や猿やジャガーの鳴き声がたくさんまわりから聞こえてきて、とても幻想的。

ちなみにこの眺め、スターウォーズエピソード4で使われていた場所らしい。観ていないのでわからないのだけど。

朝早いうちはいいけれど、遺跡見学は日焼けや虫よけや熱中症に注意です(欧米人の方々はやはり露出度高め)。

こんな階段がいくつもあり、上るんだけれど、実はとっても怖い。高所恐怖症の人は要注意。下りられなくならないように!

こんなに急だし手すりなど何もない。ティカルはそういう意味でかなりありのままの姿の遺跡で、人の手があまり加わっておらず、そこがよかった。

木の先が不思議ともこもこしているのが気になった。最初、猿かな?と思ったけど、違うよう。

猿を発見!

またもや猿!!

不思議なかたちをした木。こういうのがたくさんある。

手前の小さな人間と比較すれば、いかに遺跡が大きいことか!何度も言うけどこれ、上るの怖いです。

集落の跡のような場所もあった。

まともな遺跡というのは初めて見たけれど、建造物として美しいものだな。でも、あまりにスケールが大きく今の生活とかけ離れているから、そこで人が暮らしていたというイメージはしづらい。そういう意味での感動(「こんなところで生活していたなんて!」という)は難しかった。

単純に美術品のような美しさ。

これが公園のマップ。緑ばかり。

最後にもう一度、面白いモフモフの木。どうしても猿が巻き付いているように見えてしまう。


私にとって初の遺跡見学が終わった。その後メキシコでもいくつか遺跡を見たけれど、こんなに鬱蒼と生い茂る森の中にある広大な遺跡はなかったから、いろんな遺跡を見た人がこのティカル遺跡を勧めるのもうなずける。

そしてこれが、私のグアテマラ滞在最後の日となった。


MEMO


ティカル遺跡の入場料は、基本料金が150ケツァル、早朝料金がプラス100ケツァル、あわせて250ケツァル(約3250円)でした。


↑チケットはこんな感じ。Amanecerは「日の出」という意味。

ツアー代金の100ケツァルは別途かかりました。日本円にしてみれば安く感じられるけれど、グアテマラの物価からするとなかなかお高め(全部で1〜2万円くらいかかったような感覚)。それだけお得とも言えますが。

朝食はティカルの入口付近で。


この日使ったお金は…

  • ティカルの入場料:Q250
  • 朝食:Q20
  • 昼食:Q10
  • スーパーで食料品:Q15
  • 夕食(パン):Q10
  • 缶ビール:Q5
  • 宿代(Hotel La Casa del Lacandon)シングルルーム:Q70

しめて380ケツァル(約4940円)でした。
※1Q(ケツァル)=約13円で計算


グアテマラ旅行記の目次(記事一覧)はこちら

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【寄付のお願い】
2018年6月3日に起きたグアテマラのフエゴ火山の噴火で多数の犠牲者や避難者が出ています。以下のサイトで寄付ができます。Tポイントも使えるので、そういえばTポイント余ってるな…という方、ぜひ寄付をお願いいたします。Yahoo!アカウントにログインすればかなり簡単に寄付できます!クレジットカードもOKです◎
<緊急支援>グアテマラ噴火緊急支援募金にご協力をお願いします - Yahoo!ネット募金

世界遺産の「潜伏キリシタン」って「かくれキリシタン」とどう違うの?【五島列島の旅・番外編 01】

「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界文化遺産に登録されることが決定しました!

www.nikkei.com

私は今年のGWに長年の夢が叶って五島列島に行き、自然と一体になった教会群の素晴らしさを体感し、また五島について調べるなかで、悲惨な歴史的事実も知りました。なのでそうした建物や歴史に価値が認められたということは、単純に喜ばしいなと思っています。

…が一方で、世界遺産になってもそのままの良さを保ってほしい!とも願っています。長崎の中でも五島にしか行ったことがありませんが、その魅力は教会の建物だけでなく手つかずの自然。なんとかそこが失われませんように。


↑五島列島、野崎島の端

五島列島の旅については近々書く予定ですが…

この、「潜伏キリシタン」というのはあまり耳馴染みのない言葉ではと思います。どちらかというと「かくれ(隠れ)キリシタン」というほうが、多くの人が聞いたことがある語感では?

ではこのふたつの言葉には違いがあるのでしょうか?

結論からいうと、この二つはすこし違います。学術的には厳密に二つの語句を区別しているようなので、その違いを簡単に説明してみます(五島列島の旅行記の予習としての意味合いも含め)。

キリスト教を禁じた時代

まず前提として、キリスト教の禁制についての歴史を簡単におさらい*1

1549年 キリスト教がフランシスコ・ザビエルによって日本に伝来

1614年 日本全国に禁教令が敷かれる(=禁教時代のはじまり)

1637年 島原・天草一揆

1644年 国内で最後の宣教師が殉教

1865年 信徒発見

1873年 禁教の高札撤廃(=禁教時代の終わり)

禁教令が発令されたのは、徳川家康が将軍だった時のことです。その後およそ250年も禁教の時代が続きました。禁教令のもとで当時建っていた教会は破壊されてしまったため、五島列島の教会群は、禁教の時代が終わってから建てられたものです。

有名な「踏み絵」はこの時代、キリシタン(キリスト教信者)をみつけるために考えられた制度。他にもかなり残酷な拷問や処刑が繰り返されていたのです…。

ちなみに、遠藤周作の『沈黙』および映画化された『沈黙―サイレンス―』は、島原の乱以降でかつ、まだ外国人の宣教師が登場しているので、時期としては1637〜1644年の間の話のようです。作中に登場する宣教師のモデルとされるフェレイラ*2が棄教したのは、1633年の出来事です。

そして「信徒発見」。

まだ禁教政策が敷かれている日本で、フランス人が自らの信仰のために建てた「大浦天主堂*3」という教会において、日本人がキリスト教信仰を告白したという出来事です。もう長く禁教が続いていた日本では宣教師も処刑などで途絶えてしまっていましたが、人々が指導者のない状態でひっそりと信仰を抱き続けていたことが発覚した驚くべき瞬間だったのです。その後西欧諸国からの圧力もあり、1873年、明治政府は禁教政策に終止符を打ちました(=高札撤廃)。

潜伏キリシタンとは?

では「潜伏キリシタン」についての定義とは。

※以下を参考にさせていただきました。
長崎の世界遺産候補が「潜伏キリシタン遺産」に名称変更へ 「隠れキリシタン」と何が違うの? | ハフポスト
なぜ「隠れキリシタン」ではなく「潜伏キリシタン」なのか?長崎・天草「潜伏キリシタン関連遺産」の謎 | サライ.jp|小学館の雑誌『サライ』公式サイト

江戸時代の初期、外海、浦上、天草などの信徒たちは幕府の摘発を逃れるために表社会では仏教徒として生活し、内面的にキリスト教を信仰する潜伏キリシタンとなりました。天照大御神や観音像をマリアに見立てたり、その地域の言葉で祈りを捧げたり、それぞれに独自の信仰の形を形作っていったのです。
教会群とキリスト教関連遺産|長崎修学旅行の魅力|長崎市修学旅行ナビより

禁教時代の250年間は、表だってキリスト教信仰を表明してしまうと拷問にかけられたり処刑されてしまうため、信者たちは「キリスト教信者でないふり」をすることを余儀なくされていました。

キリスト教らしいもの…例えば十字架のモチーフやマリアの像などを仮に持っていると、キリスト教だとばれてしまう。だから、上述のように「天照大御神」や「観音像」といった、日本人が通常崇めていても問題ないものを用い、そこにイエスやマリア、神の姿を心の中で重ね合わせてこっそり信仰していたというわけです。

「潜伏キリシタン」というのは「禁教令が敷かれていた日本で隠れてキリスト教を信じ続けた人びと」なのです。だから「潜伏キリシタン」は禁教令が敷かれていた時代限定のもので、現在は「潜伏キリシタン」の人は存在しないということになります。

かくれキリシタンとは?

一方、「かくれキリシタン」についての定義は以下にありました。

潜伏キリシタンの中には、キリシタン禁制の高札撤去(1873)以降も教会に復帰しない人々がいるが、江戸時代の潜伏キリシタンと区別する意味で彼らを隠れキリシタンとよぶ。
(『山川日本史小辞典』(山川出版社)の「潜伏キリシタン」より)

「潜伏キリシタン」と違い、「かくれキリシタン」は現在も続く存在です。

高札撤廃、つまり禁教が廃止され、キリスト教が自由に信仰できる状況になっても、様々な事情や考え方により元々のキリスト教信仰の形(カトリック)に戻らなかった潜伏キリシタンがいました。それはもはや一つの異なった信仰の形となり、現在も続いているのです。

一説には、禁教が解かれたあとも、先祖代々続いてきた信仰の形を変えるわけにはいかず、たとえば仏壇などを「じゃあ、キリスト教式にしよう」と突然廃止することはできない。とか、長く続く潜伏キリシタンの時代を経て、すでにその様式をカトリックとは別のものとして信仰するようになっていた。という理由があるようです。*4

なにせ250年も続いていた禁教の時代に、精神的にしっかりと信仰を保ち続けられたのですから、その形が定着して容易に捨てられないというのは理解できます。

ただしその信仰を現在も持ち続ける人は、長崎の黒崎、出津など一部の地域に限定され、かなり減っているようです。

世界遺産は「潜伏キリシタン」であることの意味


↑五島列島の中通島にある頭ケ島天主堂

今回の世界遺産登録の名称としては「潜伏キリシタン」が用いられている、ということから、この変容した「かくれキリシタン」の文化ではなく、あくまで、厳しい時代に信仰を貫いた「潜伏キリシタン」という存在が世界文化遺産に認められたと考えられます。

キリスト教は現時点で、世界一信者の多い宗教です。

でもその形が端から端まで一緒ということは実際には不可能で、かなり多様な形が世界各地で生まれており、どこまでがキリスト教か…という判断すら難しい場合もあります。

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↑この記事にも書きましたが、教会の形もさまざまだし(五島の教会も独自のつくりでした)、かくれキリシタンと似た文化(サンシモンという神)がグアテマラにもありました。

長崎市が世界遺産登録を目指した道のりにも紆余曲折があり、構成要素を変えたり方針を変更したりということを経てようやく認められたわけですが、世界遺産として認められる普遍的価値のある文化、という意味で「禁教令のもとで信仰を貫いたキリスト教信者」という部分にスポットライトを当てて成功したんですね。

長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産
↑こちらのサイトの地図で、各構成要素をクリックすると説明が出ますが、いくつかの構成要素の説明が「…彼らの『潜伏』は終わりを迎えた」と締めくくられていることからも、潜伏していた=隠れて信仰を貫いた、という事実、そしてその後キリスト教信仰が自由になった、というストーリーが重視されていることが見て取れます。

五島列島の教会群全般については、禁教時代が終焉してから建てられたものなので、この世界遺産のストーリーからすると「信仰自由化の象徴」という位置付けになるようです。


個人的には「かくれキリシタン」も非常に興味深い文化の形だと思います。まだまだ知らないことだらけなので、もう少し調べてみたいな…と感じました。

五島列島の旅|目次(記事一覧)はこちら

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【この記事で使用しているカメラ/レンズ/フィルム(左下に透かしのある写真)】
Nikon F3+Nikkor 28mm f/2.8+Fujicolor C200

*1:長崎県世界遺産登録推進課のサイトを参考にさせていただきました。

*2:参考: クリストヴァン・フェレイラ - Wikipedia

*3:長崎市内の教会。世界遺産の構成要素の一つ。

*4:参考: 平戸市切支丹資料館|かくれキリシタンの里・根獅子ヶ浜

まるで冷蔵庫!の高速バスで最後の島へ|フローレス【グアテマラ旅行記25】



今回の話は、かなり強烈に身体感覚として5年経った今も残っていて、グアテマラやメキシコに行かれる皆さんにはとにかく覚えておいてほしい!!…と強く思っている出来事です。

高速バスには毛布が必須!

シェラ(ケツァルテナンゴ)からフローレスへは、Linea Dorada社の一等バスで移動した。

これまでグアテマラではチキンバスかシャトルバスしか使っていなかったので、一等バスがものすごく珍しく感じられる。

一等バスというのは、要するに高速バスのこと。チキンバス=日本の路線バスみたいなもので、シャトルバス=ミニバンみたいな大きさで地点間を行き来するバス、です。

おおよそのスケジュールは、

16:00 シェラ発

20:00 グアテマラシティ着
21:30 グアテマラシティ発

翌7:00 フローレス着

ちなみにグアテマラシティでの空き時間は何もすることがなく、ターミナルで待機。グアテマラシティは犯罪が多く非常に危険な街なので、旅行者は理由がなければウロウロしないほうがよいです。

で、後者は9時間の長丁場、しかも冷房が「異常に」効いていて、冷蔵庫に入れられた気分で本当に本当に寒かった!!

寝心地も普通のバスだからもちろん良くないし、かなり辛かった。一等バスと響きはいいけれど、日本の標準的な4列の高速バス程度。ただでさえ9時間バスに乗るというのはなかなか苦痛なのに、それが冷蔵庫だから本当に、もう無理!と何度も降りたくなった。

フローレスに着いてバスを降りた瞬間、あったかくてホッとした…。(ん?)


この寒さが常識なのか、グアテマラ人はしっかり毛布持っている人も。メキシコでも同じ状況なのだけど、この冷房ガンガンは誰にメリットがあるのか…?

というわけで。日本の高速バスでも飛行機移動でも「冷房が寒すぎる」というのはあるあるだと思いますが、グアテマラやメキシコでは我慢できないレベルで寒いので、防寒具を用意してください。私はもし次行くならユニクロのウルトラライトダウンとダウンのひざ掛けを用意するかなぁ。あと、バスに乗る際に忘れずに手荷物として持ち込むのも大事です(バックパックに入れてしまうと取り出せないので)。

MEMO


Linea Doradaは、グアテマラシティを本拠地とするバス会社です。
▶︎公式サイトはこちら

シェラからグアテマラシティまでの運賃は70ケツァル*1、グアテマラシティからフローレスまでの運賃は180ケツァル、合わせて250ケツァル(約3250円)でした。

↓チケットはこんな感じ

どうやって予約したか忘れてしまいましたが、タカハウス*2で教えてもらったはず。泊まる宿で聞けば確実に教えてくれると思います。

グアテマラ最後の街、フローレスへ

フローレス(Flores)に着いた。

バスを降りたらわけのわからない人が「ホテルまで連れていく」と言ってきて、わけもわからないまま数人のバックパッカーと共にミニバンで移動。

冷蔵庫バスから降りられたことに安心しすぎて、「生きて辿り着けたからもうなんでもいいや」という、かなり投げやりな気分に…(よくない)。

結果、旅行会社の人だった。

フローレスに来る人の99%は、おそらくこの街自体を楽しむというより、ここを拠点にどこかへ行く人たち。そう、このフローレスという島は、観光産業で成り立っている。

そのメインの観光地がグアテマラで一番と言われるティカル遺跡。私もこの遺跡がいいよとみんなにおすすめされ、それまで遺跡にあまり興味がなかったのだけど、行ってみたくなってこの街へ来た。


後になってわかったことだけれど、ツアー会社の数は本当に小さな島に対して多すぎるくらいにたくさんある。こりゃ早朝から必死になって客をつかまえるわけだ…と妙に納得した。

ツアーに参加する気はもともとあったので、連れて行かれた先のツアー会社で、値切りに値切ってティカル遺跡の早朝ツアー150ケツァル(約1950円)+パレンケ遺跡*3へのシャトルバス250ケツァル(約3250円)を予約。これは地球の歩き方などに書いてあったのと同じ値段なので、まあそこそこかなぁ、と。


それにしても、のんびりとした街だ。

フローレスは本土と陸橋でつながっている小さな島で、橋は頑張れば歩ける程度の長さ。だから離島という感じはしない。それでも、山に囲まれすり鉢状に湖に意識が向くアティトラン湖周辺と違って、周りを海に囲まれているため、 すーっと風が吹き抜けて行くような軽快な空気感がある。

私は島のホテルに滞在したのだけど、本土側はもっと地元民の多い感じで、すこし汚い。そちらのほうが宿泊費は安そうだけど、フローレス島にして良かった。そこここで西洋人がちらほら泳いでいたり、夕陽がとてもきれいだったり、観光地らしく、でもゴチャゴチャしていなくて気持ちいい。

ティカル遺跡を見たらすぐにメキシコに入る予定だったので、手元に残りのグアテマラ通貨が少なく、かといってATMで下ろすのも手数料がもったいないし、クレジットカードが使える店がほとんどなかったりで…すごくケチケチと食費を削った。 わざわざ橋をわたってスーパーとパン屋を探して、ビールとトマトとパンにチーズ、を2日繰り返したり。まぁこんなのも、たまには楽しい(しかも意外と美味しかった)。

話がそれるけど…
グアテマラの人はすぐ「マキナ(機械)の調子が悪くて」と言います。写真の現像をしたときもそうだったし、クレジットカードが使えると書いてあるから入った店でも「マキナがどうのこうので使えない」と言われたり(あまり直す気もなさそう)。

泊まったのは「Hotel La Casa del Lacandon」というホテル。テラスから海が見えて気持ちいいので、そこでパソコン作業したりしてました。

MEMO


Hotel La Casa del Lacandon
Calle Union, Flores 17001, Guatemala
▶︎Trip Adviser
▶︎Booking.com
観光地なので、珍しく予約サイトで予約できるようです。

フローレスには、たくさんのトゥクトゥク。

そんなに高くないんだろうけど、なんだかケチってしまい、一回も乗らず(ひとり旅だと思い切れない)。結局、グアテマラでトゥクトゥクに乗ったのは、パナハッチェルの港に着いたときホテルまで乗った一回だけだったなぁ。

翌日、いよいよティカル遺跡を目指します。



MEMO

この日使ったお金は…

  • シェラからフローレスまでの一等バス(片道):Q250
  • ティカル遺跡へのツアー予約:Q150
  • パレンケ遺跡へのシャトルバスツアー予約:Q250
  • 水:Q5
  • 昼食(タコスとジュース):Q15
  • 夕食(パン):Q7
  • スーパーで食料品:Q19
  • 宿代(Hotel La Casa del Lacandon)シングルルーム:Q70

しめて766ケツァル(約10000円)でした。
※1Q(ケツァル)=約13円で計算


翌日、いよいよティカル遺跡へ。
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*1:グアテマラの通貨の単位。1ケツァル=約13円(2013年当時)。

*2:シェラのゲストハウス。詳しくはこちらの記事をどうぞ→ さよなら、タカハウス【グアテマラ旅行記24】 - ここではない、どこか遠いところ

*3:メキシコの遺跡。国境を陸路で越えて行った。

さよなら、タカハウス【グアテマラ旅行記24】

シェラを離れる日が、ついにやって来た。

2013年4月15日にシャトルバスでタカハウスに着いてから、ちょうど4週間。途中ところどころ出かけてみたりしたけれど、案外長いことシェラにいたんだなぁと、気づく。

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最後の一泊はタカハウスで。

シェア飯*1を食べたあと、土曜の夜ということで集まってきたみんなとお酒を飲む。(ただし私は以前お酒を飲みすぎて体調を壊したのでビールのみ…)

みんな酔っぱらっているなか、けっこうシラフに近い状態になってしまったけれど、さよならを言いに来てくれたのはとても嬉しい。


そして翌日。

最後の最後に、タカハウスに置いてあるマリア(ナワラで織物を作っているおばさん)の織物がどうしても欲しくなり、わざわざマリアに電話をかけて買ってしまった。100ケツァル(1300円)。たぶん値切れば80いけたと思う、でもとっても気に入ったので。

タカハウスの廊下には当時、マリアの織った布が積まれていて、欲しかったら値段を聞いてみるというスタイルだった(今もあるかは不明)。

日本に帰ったら、この布で大きなバッグを作りたいなと考えてみたり。織物の有名なグアテマラに来ている人だからか、旅している人だからか、わからないけど…みんなけっこう物を手作りしていて楽しそう。

後日談。結局布のままあちらこちらに移動して使っています。お土産が届かなくて*2けっこう織物も失ってしまったので、生き残ったこの子は大事にしています。洗濯も普通に洗濯機で。色落ちを防ぐために洗剤はできれば避けた方がいいらしい。

マリアについてはこちらにて。
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あと少しの旅程、お金が足りるかわからないので、最後の食事はメキシカンサンドイッチ?的なもの。これからメキシコに行くんだけどな〜と思いつつ。


いよいよ出発するとき、
トクさん(オーナーのタカさんとは別の、タカハウスに住んでいる?おじさん)が、ボビー(犬)の散歩をするふりをして、見送ってくれた。

結局ボビーが嫌がって、すぐお別れしたけれど…なんだか嬉しかった。

Facebookを見たら、ボビーは最近亡くなってしまったみたい…。みんなに愛されて可愛い犬でした。



今フローレスでこれを書いているのだけど、また英語の使える場所に来てしまったなという感じ。こちらがスペイン語を使おうとしても英語で話されてしまう。学校で習ったことも、あっという間に忘れてしまうかもしれない…。

日本に帰っても、絶対スペイン語の勉強は続けようと思う。

ありがとう、シェラ。あたたかく、くるりと包み込んでくれる街でした。



MEMO

タカハウスについて。
ゲストハウス兼スペイン語学校として、シェラ(ケツァルテナンゴ)で人気のタカハウス。日本人の「タカさん」が経営しています。

2018年6月現在、タカハウスが営業しているかどうかは把握していませんので、ホームページから問い合わせてみてください。私も特にツテなどなく、Eメールを突然送りました。なお、Facebookのほうが、最新の情報が載っているようです(最終更新は2018年4月)。

Facebookページ(タカハウス)

以下の記事もよかったら参考にしてください。
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グアテマラは旅行客にとって危険の多い国です。日本人宿でしっかり(深く理解して)情報を得られるということは、ヨーロッパやアメリカなどと比べ物にならないくらい大事だと思うので、ぜひご検討を!なお、人気の観光地であるアンティグアではペンション田代、パナハッチェルではHotel El Solがそれぞれ日本人経営の宿です。私はどちらも利用しました。

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次回、高速バスで最後の目的地「フローレス」へ。
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*1:ゲストハウスでみんなでお金を出し合ってシェアするご飯。料理の得意な人が作ってくれて、節約にもなる。

*2:詳細はこちらにて→ 届かない荷物|サンアントニオ(後編)【グアテマラ旅行記 05】 - ここではない、どこか遠いところ

古着市とグアテマラ一番人気のカフェへ|パナハッチェル【グアテマラ旅行記23】

2013年5月10日。サンペドロ滞在を終え、朝7時半に宿を出て対岸のパナハッチェル(Panajachel)へ。
(普段そんなに朝が強いほうではないのに、旅先だと朝型になる。)

ここで当初は二泊する予定だったのだけど、サンペドロで思いがけずゆっくりしてしまったので一泊(というか丸一日)しかない!

パナハッチェルはアティトラン湖周辺で一番栄えている街。やりたいことがいろいろあったので、まずそれを終わらせるのが目的。

  • 古着市でおみやげを買う。
  • 噂のカフェでコーヒー豆を買う。
  • それらをまとめて荷物を日本に送る。



何やらパレードに遭遇。

グアテマラ穴場の古着市

マヤの古着市は、タカハウスのお友達に教えてもらった。火曜日と金曜日にやっているとのことで、ちょうど金曜日だったから行ってみた。

ここ、ガイドブックとかにはたぶんあまりのってないけど、けっこう穴場!

古着や古布など、先住民のおばちゃんが大量に売りにきている。もともとグアテマラの織物って派手だから、古着になったぐらいが案外しっくりくるというか。


↑民族衣装の布で作った小銭入れ。色が落ち着いていて可愛い。


↑布。こういう落ち着いた色のものをこれまであまり見なかった。

安いし、値切りやすいし、各地の本物の布が集まっている。グアテマラを色々旅した人ほど、ここの布に惹かれるんではないかなと思う。場所は消防署の前(後ろに見える赤茶色の建物が消防署。Bomberos Voluntariosと書いてある)

INFO

Bomberos Market
Calle Principal, Panajachel, Guatemala
火・金
8:30 - 15:00頃
こちらに情報と地図があります


超人気のおしゃれカフェで日本人と出会う

それから、すぐ近くのCrossroads Caféへ!

ここは超有名の超人気店。タカハウスでもパナハッチェルに行った人は必ず立ち寄っているし、大量にコーヒー豆を買って日本へ送る人がたくさん。グアテマラはコーヒーで有名だけど(むしろコーヒーのイメージしか日本ではないような)、実は質のいいコーヒーってなかなか飲めないし手に入らない。みんな輸出にまわしてしまうので。

クロスローズカフェは、店内で飲むコーヒーも美味しいし、豆もいろいろ種類がある。私はAmazing Graceという500gで65ケツァル(約850円)のものにした。

ちょうど行ったときこの豆を焙煎していて、しかも日本人の男性の方がやっていた。不思議な出会いもあるものだ。

コーヒーだけでなく、ケーキもとても美味しく、おすすめ。



↑当時もらったショップカードはこんな感じ。

INFO

Crossroads Café
Calle del Campanario 0-27, Panajachel, Solola, Guatemala
火 - 土
9:00 - 13:00/14:30 - 18:00
※営業時間は事前にご確認をお願いします。
公式サイト


郵便局から荷物を送ったら……

郵便局から荷物を日本に送った。送るのが大変かなと思っていたので、とてもスッキリ。

しかし高かった…。6kg(2kg刻み)でQ700ほど。つまり9000円以上!でも、いらなくなったスペイン語の教材など、重いしかさばるので送らずにあと一ヶ月旅するのは無理だと思って送った。買ったばかりのコーヒー豆(お土産用)なども入れて。

→後日談。この荷物、実は日本に着きませんでした…。以下の記事に詳しく。

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Hotel El Solで天ぷら定食!

その日は街で偶然タカハウスのお友達に会い、行動を共にした。

昼ごはんのグアテマラ料理店は安くて美味しかったし、夜は一緒の宿(Hotel El Sol)に泊まり、一緒にお風呂につかり、一緒に風呂あがりのビールを飲んでちょっと贅沢な食事。ここは日本人の方が経営しているので日本食を出していて、60ケツァル(約780円)で天ぷら定食を!


↑お風呂には珍しく浴槽があります。


↑天ぷら定食とビール。日本食は有り難い。

INFO

Hotel El Sol
Salida a Santa Catarina, Barrio Jucanya, Panajachel
Solola, Guatemala, C.A.
Tel: +502-7762-6090
Fax: +502-7762-6093
Booking.com
ドミトリーQ70/シングルQ170〜


短い滞在だったけれどパナハッチェルではカフェと古着市が本当におすすめ。それ以外はけっこう土産物屋って感じなので、個人的に街の雰囲気はサンペドロのほうが楽しかったかな。

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けっこう謎の多い土産物(笑)


こんな土産物ストリートもあり。


時間があれば、近くのサンアントニオ・パロポという村にも行ってみたかった。

さて、チキンバスでシェラへ戻ります!
(実は、サンペドロでオーダーした靴を取りに、一度サンペドロに寄ってからシェラに帰りました。)



MEMO

この日(パナ1日目)使ったお金は…

  • サンペドロからパナハッチェルまでの船(片道):Q25
  • パナハッチェルのトゥクトゥク:Q5
  • 古着市:Q60
  • 昼ごはん(外食):Q25
  • Cross Roads Cafe の豆を3パック:Q195
  • 同 お土産のハチミツ:Q35
  • 同 店内でケーキとコーヒー:Q26
  • 郵便局で荷物を送る:Q709.5
  • Hotel El Sol宿泊費:Q60
  • 同 夕食とビール:Q78
  • パン:Q2.5

しめて1221ケツァル(約16000円)でした。
※1Q(ケツァル)=約13円で計算


次回、タカハウスとの別れ。
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30分の最高に気持ちいい風|サンルーカス・トリマン【グアテマラ旅行記22】

サンペドロ滞在三日目は、アティトラン湖*1周辺の村のひとつSantiago Atitlan(サンティアゴ・アティトラン)へ行った。

朝早く目が覚めて、7時半ごろ宿を出る。


桟橋はこんな感じ。

ボートだけど、行きはスピードがすごく速くて20分くらいだった。帰りは40分くらいかかったかな。片道20ケツァル(約260円。外国人料金で現地の人より高い)、けっこうするなぁという感じはした。


日本でもそうだけれど、船移動というのは陸移動と違って幻想的。

サンティアゴ・アティトラン

サンティアゴに着いた。なぜか降りてすぐの通りは建物がなく土の状態。

サンティアゴでは市が開かれていた。でも生鮮食品の市はどこも似ているし(だんだん見慣れてきてしまった!)、人々はなぜかちょっと愛想がよくなく、お土産物屋はいかにもな土産物ばかりで、魅力を感じられず…。


まあお土産も面白いんですけどね。いかんせん見慣れてしまったのかな。

サンルーカス・トリマンへ走り抜ける!

なので、1時間ぐらい見てから、近くの San Lucas Tolimán(サンルーカス・トリマン)へ移動!

ピックアップ*2を探して乗り込む。7ケツァル(約90円)と高かったけど、ボラれたかな…?と思ったら、帰りも同じ金額だった。


このトリマンへの道が、とっても気持ちよかった。今まで街中でピックアップに乗ったことは幾度となくあったけれど、今回の道(サンティアゴ→トリマン)は、完全な森の中。

トリマンはコーヒー栽培に従事する人が多い村のようで、これがもしかして全部コーヒー農園なのか!?と思うと、すごくワクワク!

涼しいというよりむしろ寒いくらい風を切って進むトラック。その荷台に30分立ちっぱなしで、移り変わる緑の景色を存分に堪能した。こんなに気持ちいい風を感じたのは、いつぶりだろう。山の中を走ることってあんまりないから、初めてかもしれない。

たかがピックアップ、されどピックアップ。これがこの日一番のハイライトだった。


↑地図を見る限りこの道路しかないようなので、たぶんこのルートです。

サンルーカス・トリマンをぶらぶら歩く

トリマンに着くと、そこは今まで見た中でもかなり小さな村。


おばちゃんに「どこがメルカド?」と聞くと、「あっち、レクトレクトレクト!(ずーっとまっすぐ)」と、愛想よく答えてくれた。

メルカドに向かう途中、革製品のお店を発見。お店というか小さな製作所という感じで、作りかけの製品がたくさんぶらさがってる。中で作業をしているおじさんが挨拶してくれたので、思いっきって中に入って「見てもいいですか?」と聞くと「いいよ!」と。

どこから来たの?」「ハポン(日本)」というお決まりのやりとりを。

おじさんは、一人でこのお店をやっているらしい。サンダルはこちらもオーダーメイドが可能とのこと。革をナイフで切る仕草がとてもかっこよかった!


そしてメルカドへ。特別かわったものはない。

近くに教会もあった。


さらに墓地があったので、入ってみた。グアテマラの墓地。知られざるすごいスポットだ。とっても派手で、まるで家みたいに大きな墓石(で合ってるかな?)を作っている。

裕福な人ほど手前に出てきて、大きい墓石をたてる。お金のない人は後ろのほうで、小さな墓石をたてる。いずれもパステルカラーで、不謹慎ながら…ちょっとかわいい。

その後、パルケのそばの屋台でご飯を食べ、少しだけぶらぶら散歩。「チニータ*3!」「ハイ、チャイニーズ!」といった挨拶も笑顔でされるので、微笑ましくなった(これは挨拶なんだねきっと)。



しばらくして、来た時と同じようにピックアップでサンティアゴへ戻る。行きほど感動しなかったけど、やはり気持ちいい。

サンティアゴに着いたら、すぐにサンペドロへ戻った。サンペドロ着はまだ昼ぐらいだったんだけれど、朝早かったからか疲れたので昼寝をして…。


この日の夜は、お友達に教えてもらったグアテマラ料理をテイクアウト!25ケツァル(約300円)ですごくボリューミーで野菜がたっぷり!!ビールを買ってきて、テラスでひとりで夕飯。のんびり。幸せだ。残念ながらお店の名前は忘れてしまった…。


ホテルは引き続き「Peneleu」です。

www.tripadvisor.jp


翌日、パナハッチェルへ移動!
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MEMO


この日使ったお金は…

  • サンティアゴまでの船(往復):Q40
  • サンティアゴからトリマンへのピックアップ(往復):Q14
  • トリマンの屋台:Q15
  • 屋台のマンゴー:Q7
  • 夕食(テイクアウト)とビール:Q30
  • 水:Q3
  • ホテル:Q40

しめて149ケツァル(約2000円)でした。
※1ケツァル=約13円で計算


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*1:グアテマラ最大の湖で、世界一美しい湖とも言われる

*2:トラックの荷台に手すりがついていてそこに人が乗る移動手段

*3:中国人の女の子という意味

草木染めの美しい色|サンフアン・ラ・ラグーナ【グアテマラ旅行記 21】

サンペドロ一日目は道路工事の影響でバスが遅れて着いたうえに、ひどい土砂降りだったので、どこにも行かずホテルにこもりっきり(そして停電…)。

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二日目は、シェラのタカハウスで知り合ったお友達とさらにそのお友達と一緒に、San Juan La Laguna(サンフアン・ラ・ラグーナ)へ。グアテマラに数えきれないほどある織物文化の中でも、ここは草木染めで最近有名になってきたんだとか。

それぞれのお店の名前や場所はあまり覚えていませんが…、狭い村なのでぶらぶら歩けば見つかる程度だと思います。

青年海外協力隊の方のお宅へ

今回お邪魔したのは、青年海外協力隊でグアテマラにきている日本人女性のお宅。そこが、とても素敵なおうちだった。一人で暮らしているそうなのだけど、わりと広い家(平屋の一軒家)で、庭にはブーゲンビリアが鮮やかに咲く。そしてわんちゃんがいる。

このお庭のテーブルで、みんなで手作りの親子丼をいただいた。美味しくて、何度もおかわりをしてしまった!

日本食って美味しい…!!

としみじみ(油っこくないし、米が美味しい)。

ちなみにこのかたはサンフアンで先住民の方々にバッグなどのデザインを教えているそう。そんな仕事もあるんだなぁ、とちょっとうらやましくなった。でも、青年海外協力隊ってけっこう選ばれるのが難しいみたいですね。

草木染めを見せてもらう

草木染めをしてくれるというお店にお話を聞きにいった。




いろんな色のサンプルがあり、どれも天然の染料ということ。草木だけでなく虫で赤く染めるのも実演して見せてもらった。ニュアンスのある色味が、他のグアテマラの民族衣装の雰囲気と違ってすごくきれい。布を持ち込むと有料で染めてくれるらしいです。


もともとこの村の草木染めが渋くていいよとオススメされていたので、父と母へのおみやげを探してまわった。

どの街へ行ってもそうだけど、店にはだいたい同じような商品が並んでいて、決め手となるのは店の雰囲気だったりする。私が最終的に買ったお店は、広々として清潔感があり、商品の色合いもどことなくおしゃれ。両親へおそろいでストールを買い、小さな敷物も2枚。しめて165ケツァル(=約2100円)。

www.tripadvisor.jp
↑この「BATZ'」っていうお店です。グアテマラでおしゃれなお土産が欲しいという方はぜひに!

ウォールペインティングがたくさん

村自体のんびりとしていて、ウォールペインティングが面白く、アートに対する意識が高いのかな?、今まで見た村と少し違った雰囲気で居心地よかった。




やっぱり湖のそばって、いい。アティトラン湖周辺はどこもそうだけど、湖に向けての下り坂で抜ける視界、広い空に、山とは違う開放感がある。

ココナツの身に直接ストローをさして飲む、ココナツジュースを飲んでみたり…。


ピックアップ(軽トラの荷台。ちゃんと手すりつき)でサンペドロに戻り(片道2ケツァル=26円ほど)、この日はタカハウスのお友達とイタリアンへ。

すこし前まで停電していた影響か、ほとんど種類がなかったけど、美味しかった。お店の名前は忘れてしまったけど、2階にあるテラス席のようなところで食べた。湖の近くで風が抜ける屋外の席で食べるイタリアンは、とっても美味でした。

あらためて、グアテマラは交通費も食費も安いしお土産も安いし、いろんな所に行ってみたい人には最高の環境だと思う。


MEMO

この日使ったお金は…

  • 朝食のパン:Q2
  • 朝食のコーヒー:Q7
  • 水:Q5
  • 洗濯:Q10
  • サンペドロからサンフアンへ(往復):Q4
  • Batz Textileでお土産:Q165
  • パン:Q3
  • 昼食(親子丼):Q5
  • ペットボトルケース(自分用):Q25
  • 夕食:Q50

しめて276ケツァル(約3600円)でした。
※1Q(ケツァル)=約13円で計算


翌日は、またまたサンペドロの近くの村へ。
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グアテマラ旅行記|目次

グアテマラ旅行記も記事が増えてきたので、網羅すべく目次エントリーをつくりました。迷ったらここへ…!

日記編

出発〜アンティグア滞在中


↑写真は【04/05】サンアントニオ・アグアス・カリエンテスにて。

【01】LAXで過ごす10時間
・・・いざ成田からグアテマラへ!…しかし乗り継ぎが意外と辛かった、という話。
【02】ここでしか見えなかった街|アエロメヒコの中で
・・・飛行機の中、早くもすべてが嫌になってきた頃、見えたものとは。
【03】グアテマラ、最初の地はアンティグア
・・・グアテマラ初の滞在地、古都アンティグアのファーストインプレッション。
【04】運命の織物との出会い|サンアントニオ(前編)
・・・グアテマラといえば、そう、織物。早速意気揚々と仕入れに行くと…。
【05】届かない荷物|サンアントニオ(後編)
・・・見つけてしまったお目当ての品、そして悲劇的な結末が待っていた。
【06】華やかな衣装と青空ランドリー|サンタマリアデヘスース
・・・日曜市はみんな着飾って、お洗濯は街の洗濯場で。
【07】アンティグア3泊4日の記録
・・・アンティグア滞在中に行ったおしゃれカフェや廃墟、泊まった宿。

ケツァルテナンゴ(シェラ)とその周辺


↑写真は【12】スニルにて。

【08】シェラへの道は険しかった
・・・ザ・想定外の事態、それは「車酔い」
【09】日本人宿「タカハウス」
・・・スペイン語も習いお友達もたくさんできた思い出の場所!
【10】ケツァルテナンゴ、またの名をシェラ
・・・シェラの街がなんだかしっくりきた、という話。
【11】毎日を丁寧にこねこねする|ナワラ
・・・はじめて先住民の方の家へお邪魔し、グアテマラの人々の暮らしに思いを巡らせる。
【12】ここではない、美しい地を見つけて|スニル
・・・一生忘れられない、あの美しい場所。
【13】世界一派手かもしれない教会へ|サンアンドレスシェクル
・・・真っ黄色の教会、まるで木のおもちゃのよう…。
【14】山の上で売られる動物たち|サンフランシスコエルアルト
・・・絶景の山の上の市場では、名物の家畜市が開かれていた。
【15】川辺でも道路でも糸を紡ぐ|サルカハ
・・・長い道があればそこは糸を紡ぐ場所となるんだ。
【16】シェラでフィルムを現像してみた話
・・・フィルムを、恐る恐る…。グアテマラの人とのちょっと困難なやり取りも。
【17】帰国便、変更!
・・・思い切って変えちゃいました。
【18】山奥の秘境をめざして|トドスサントスクチュマタン(前編)
・・・行きたかったけれどまさか行けるとは…秘境への女二人旅。
【19】見るともなく見る日常|トドスサントスクチュマタン(後編)
・・・これが”娯楽”だとしたら…?山奥で見えた光景とは。

アティトラン湖


↑世界一美しいといわれるアティトラン湖の景色。

【20】ハンモックと湖畔の眺め|サンペドロ・ラ・ラグーナ
・・・ヒッピーが住む居心地のいい街、湖のほとりの快適な宿で。
【21】草木染めの美しい色|サンフアン・ラ・ラグーナ
・・・草木染めの美しい色合い、他のグアテマラの民族衣装とは違った魅力がある。
【22】30分の最高に気持ちいい風|サンルーカス・トリマン
・・・コーヒー農園(?)に囲まれた道を走り抜ける!
【23】古着市とグアテマラ一番人気のカフェへ|パナハッチェル
・・・アティトラン湖一の観光地、美味しいコーヒーは絶対飲むべき。

フローレス


↑ティカル遺跡の朝

【24】さよなら、タカハウス
・・・タカハウス、シェラとの別れ。
【25】まるで冷蔵庫!の高速バスで最後の島へ|フローレス
・・・一等バスの注意点と、フローレス島の心地よさ。
【26】ティカル遺跡でジャガーの目覚める声を聞く
・・・午前3時発のツアーで真っ暗なジャングルへ。



番外編

【01】5年越しのグアテマラ旅行記
・・・なぜ旅から5年経った今、ブログを書いているのか?
【02】なぜ、グアテマラへ?
・・・名前は聞いたことある、その程度だった。
【03】アンティグアの可愛いファサード集
・・・写真映えする街、アンティグア!
【04】グアテマラでスペイン語を習う
・・・スペイン語習得に最適な国、それがグアテマラ。


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ハンモックと湖畔の眺め|サンペドロ・ラ・ラグーナ【グアテマラ旅行記20】

スペイン語学校を2013年5月6日付で終え、翌日にさっそくアティトラン湖を目指した。

アティトラン湖は世界一美しい湖という噂。湖の周りを山が取り囲んでいます。

当初、パナハッチェルというアティトラン湖一番の観光地に行こうと思っていたのだけど、いろいろな体験談を聞いてルート変更。まずはサンペドロ・ラ・ラグーナ(San Pedro La Laguna)へ!


シェラ(ケツァルテナンゴ)からだとダイレクトに行って車で2時間ほどの距離。乗り換えなしで行けるチキンバスで、片道30ケツァール(約400円)だった。

サンペドロ・ラ・ラグーナというヒッピーの居つく街

サンペドロは、とても好きな街だった。街という規模でいうと、アンティグア*1、シェラ*2、ウエウエテナンゴ*3、サンペドロ、そしてこの後行ったパナハッチェルにそれぞれ滞在してみたわけなんだけど(規模はシェラが一番大きい)、サンペドロが一番楽しかったかな。

山より海派なので、湖のそばというのことでまず空気が心地よい。緑が多くて規模がほどほどに大きすぎず小さすぎず、面白い小道があって歩いていて楽しい。そして道行く人もみんな挨拶してくれて雰囲気がいい(欧米人が多いので観光客に慣れてるというのもあるかもしれない)。

ただ、欧米人やツーリストが多いため、グアテマラ人も英語を話す。それが少し残念というか、グアテマラでは、スペイン語しか通じない感じが良かったのだけど。サンペドロのスペイン語学校に通ったら、街で英語が通じてしまうので、あまり上達しなかったのでは…と思う。


↑こんな感じで英語の看板がたくさん出ている。

サンペドロといえば、ヒッピーの街でもある。ヒッピーと言われてもピンとこなかったけれど、行ってみると「なるほど」って感じの人がたくさんいた(詳細は割愛…)。

ヒッピー(英: Hippie)は、伝統・制度などの既成の価値観に縛られた人間生活を否定することを信条とし、また、文明以前の自然で野生生活への回帰を提唱する人々の総称。
ヒッピー - Wikipedia

街の雰囲気としては好きなんだけど、ややヒッピーすぎて馴染めない部分があったりもした。もう少しだけクリーンな場所だったらなぁ…と思う。

宿でハンモックに揺られのんびりする至福

泊まったのは「Hotel Peneleu(オテル・ペネレウ)」。


↑この看板が目印。港から徒歩10分かからないぐらい。目抜き通りの坂道をまっすぐ行って、左に折れる。

私の泊まったときは一泊40ケツァール(=約520円)。

サンペドロでは、とにかくのんびりした。昼寝したり、ハンモックに揺られたり…。ひさしぶりに自分でご飯を選んで、自分のペースで生活する。ストレスフリーになって、ずっと抱えていた腹痛も一気に治った。実はホームステイで毎日少しずつストレスを感じていたのかなと思った。基本的には一人でいるのが楽な体質なので。

このペネレウに3泊したのだけど、到着した日はすごい土砂降りで停電していた。暗い中で、いろんな旅行客の声が聞こえる。不便だったけど面白かった。韓国人の女の子と少し話す(かなりマシンガントーク)。そして次の日の朝に電気は復活した。


宿の眺めはかなり最高だった。テラスから日が昇るのを毎朝見れる。アティトラン湖が見えるレイクビュー!

革靴のオーダーメイドをしてみた

あと、この街でやりたかったことの一つ、それが靴のオーダーメイドCaza Sueños(カーサ・スエニョス)という革製品のお店で作れます。

いろいろ事情があって私は何度も店に足を運び、最終的には靴とバッグを購入。バッグは買ってすぐ縫い糸がほつれて直してもらいに行ったし、靴も無理を言って急いで作ってもらってしまった。申し訳ないです。


↑Caza Sueños


↑これが作ってもらった靴!スエードを使用。かわいい。名前は「Hongo(オンゴ=キノコという意味)」。つま先のところのひだがキノコみたいだから、だとか。値段は250ケツァール(=約3300円)だった。革のショルダーバッグは180ケツァール(=約2300円)。



↑お店でもらったショップカードのようなもの。

場所は…ネットに正確な情報は見つからなかったけれど、湖からペネレウに向かう上り坂のメインストリートの、湖を背にして右側。港のすぐ近くでわかりやすい所です。


それにしても、海のそばとか、湖のそばに住むって、憧れるなぁ。

近くには、サンペドロに飽きたヒッピーが住んでいるというサンマルコスという街もあり、そこも本当にきれいでいいところらしい。行ってみたかったな。

MEMO


この日使ったお金は…

  • 朝食パン:Q4
  • シェラからサンペドロへのチキンバス(片道):Q30
  • 靴オーダー:Q250
  • 革バッグ:Q180
  • パン:Q3
  • チキンとポテト:Q7
  • 水:Q5
  • 宿代(Hotel Penereu)シングルルーム:Q40

しめて519ケツァル(約6800円)でした。
※1Q(ケツァル)=約13円で計算

アティトラン湖周辺には5日間滞在する予定。次回は「サン・ファン・ラ・ラグーナ」というところへ行きます。
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【お願い】
2018年6月3日に起きたグアテマラのフエゴ火山の噴火で多数の犠牲者や避難者が出ています。以下のサイトで寄付ができます。Tポイントも使えるので、そういえばTポイント余ってるな…という方、ぜひ寄付をお願いいたします。Yahoo!アカウントにログインすればかなり簡単に寄付できます!クレジットカードもOKです◎
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見るともなく見る日常|トドスサントスクチュマタン(後編)【グアテマラ旅行記19】

*フエゴ火山の噴火について。

2018年5月3日、グアテマラのフエゴ火山が噴火し、多くの方が犠牲になっているようです。

グアテマラはまだそこまで裕福でない国なので、復旧などおそらく時間がかかると思います。

不幸にも被害に遭い命を失ってしまった方のご冥福をお祈りします。怪我を負った方、他にも被害に遭われた方、そのご家族も、どうか一日も早く元どおりの生活ができますように…。



※以下は2013年の旅行記に戻ります。前編はこちら↓
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トドスサントスの“制服”

トドスサントスクチュマタンは、小さな村。

何が変わっているかって、男性の民族衣装がとってもおしゃれ、かつ全員一緒!

女性の民族衣装はグアテマラでは見慣れてしまったけれど、男性で着てる人はこれまでほとんど見たことがなかった。

しかもトドスの衣装は、本当に「なぜだ?制服なのか!?」というお揃い具合。バスに乗った時点でその服を着ている人がいてテンションが上がる。

  • 白地にストライプのシャツ
  • きれいな色で織られた布地の襟
  • ズボンは赤地のストライプ
  • おそろいの青いバッグ
  • そして、超おしゃれな帽子

でもひとりずつ少しずつ、違うのだ。シャツの襟の模様、ズボンの赤の色味、バッグの柄など。

サイジングもいろいろ。若者はけっこうダボっと履いていたり、逆に細身で履いていたり。ブーツインしてみたり。

この感じってまさに日本の学生服。(私は公立だったので、私立はどうかわからないけど)指定はあるけどつくるお店によって微妙にサイズ感や質感が違って「あそこの店は上手い」って噂になったり、自分なりにアレンジして着こなしたり…。



そして女性の衣装も、シンプルながらとても素敵。スカートは無地の紺色、トップスは青系の細かい模様の織物。

男女の組み合わせの妙も含め、ここの衣装の素晴らしいセンスに惚れてしまった。

ん?見てる?

村に着くとまず「わ〜!ほんとにみんな一緒だ!」と感激する私たち。

て、ていうか…?

上から同じ格好をした男の人たちがめっちゃ見てるよ

この光景は夕方になっても次の日の朝も続いた(トドスで一泊した)。不思議。何もせずにぼんやーりと下を眺めている「だけ」なのだ、本当に。

何もしない。

しつこいけど……何も、しない。


これはかなり、面白いけれど異様な光景だった。民族衣装を見て、買い物をして、山に登ったり、人と話したり、ナオミさんと一緒だったおかげでトドスでも退屈せずに楽しめたんだけれど…

私がこの旅で何が一番忘れられないかというと、見るともなく見つづける男の人たち。そう、男。女は一人もいない。

行ってみればわかると思うけれど(と言って行く人もまずいないと思うけど)トドスサントスには、何もない。市場も小さいし、教会とその周辺にお店があるだけで、エンターテイメント性のあるものは何もない。

人々は、あまり大声で話したりすらしない。シェラにいればパルケパルケ〜ミネルバミネルバ〜とかうるさく叫んでたり。ほかの村に行っても、市場が盛り上がっていたりする。けれど、トドスは静かで、何もない。

何もない結果、上から下を眺めている。



そうしたらナオミさんが

こうやって眺めてみるとテレビ見てるみたいで意外と楽しいね〜

と言って実践し始めた。

行った日は土日だった。仕事はないのだろう。もしかして、彼らにとってこれが娯楽なのかしら?と思うとすごく、言葉にできない、もどかしい気持ちになった。

以前も書いたけれど、先住民の人々はテレビもケータイもなくて、その分日常のこまごまとした物事から丁寧に情報を拾っているんだろうと思う。

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そんな感動は他の村でもあったのだけれど、トドスのそれは「こまごまとした物事」というレベルじゃない。

もし、彼らの目に移るテレビジョンから得る情報が、私たちの目の前を通りすぎていく膨大な量の情報と同じビット数なんだとしたら、彼らはいったい何を見て、どうキャッチし、そしてどのように考えているのだろうか?

不思議でたまらない。


もどかしい気持ちになるのはきっと、とてもとても、自分にとって究極に苦手な行為だからなんだろうなぁと思う。私はぼーっとすることがうまくできない。何か触っていないと落ち着かない。

でも、もし私がトドスサントスの男に生まれていたら、ああやって上から下を眺めて一日過ごしていたかもしれない。だってそれしか選択肢がないとしたら。

その乖離を感じたとき、「宇宙が無限にある」ことを考えるときと同じように、悲しいほどに、頭が思考の限界に達してしまうのだった。

朝のトドス散歩


ここが泊まった宿「Hotelito Todos Santos」。

todossantoscuchumatanes.weebly.com
こちらに記載が。

ちなみに「Todos Santos Cuchumatán」という地名はメキシコにもあるようなので、お気をつけて!そしてこの宿と全く同じ名前のホテルがそのメキシコのトドスサントスにもあるという、紛らわしい状況。この記事のトドスサントスは「グアテマラ」にあります。

「Hotelito」の語尾「-ito」というのは「小さい」という意味。小さな宿、かわいらしい宿、みたいなニュアンスかと。「-ito」「-ita」を現地の人はやたらと名詞にくっつけて、小さいかわいらしいもの、という言葉に変えます。時には侮蔑的な意味も含みますが、大体は前向きかなぁ。ちょっと豆知識…。



山の方に登ると、美しい風景。朝の空気が気持ちよかった。


ナオミさんは民族衣装がカッコイイ!と言って買っていた(意外と高い。そこも制服っぽいのだけど)。素敵。


羊。


民家の前に犬。


なにかの会合?に遭遇。


美しい村だった。



次回、スペイン語学校とホームステイを終え、アティトラン湖周辺へ5日間の旅。
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山奥の秘境をめざして|トドスサントスクチュマタン(前編)【グアテマラ旅行記18】

2013年、日本ならGW真っ盛りな5月はじめの週末、旅の中でさらに小さな旅をしてきた。

もともとこのTodos Santos Cuchumatán(トドス・サントス・クチュマタン)には興味があり、地球の歩き方で見てからずっと行きたいなぁと思っていたのだけど、なにせけっこう遠いので、まぁ行けないかな。と、半分あきらめていた。

が、スペイン語学校で一緒のナオミさんというお友達に話してみたら、二人で行ってみようということに!

遠いし、かつて日本人が殺された事件があった村だったりと、ちょっと不安もあったので、同行者がいるのは心強い限り。ちなみにナオミさんは私が体調を思いっきり崩したとき、わざわざホームステイ先にお見舞いに来てくれた優しい人。そこからこの話が生まれたのだ。

ウエウエテナンゴの危険な夜

金曜日午前中の授業が終わってからシェラを発ち、チキンバスで中継地点へ向かう。

この日はHuehuetenango(ウエウエテナンゴ)で一泊。どんな名前だよ、というのはさておき。ウエウエテナンゴの街はウエウエテナンゴ県という大きな県の県都なのだ。そしてトドスサントスはウエウエテナンゴ県に属する(噛みそう)。

ダブル(日本でいう、ツイン)で一人55ケツァール(約700円)の部屋にチェックイン。Hotel Sinai(オテル・シナイ)という変わった名前の、でもとても清潔でいい感じの宿だった。

ホテル近くがすぐバスターミナルで、雑然としている。


晩ご飯を食べに街へ繰り出した帰り道、ホテルへ帰るバスを探すも、気配ナシ。時刻は21時ごろ。

近くにいた人に聞くと、
もうバスはない。歩く?遠いし危険。タクシーを拾ったほうがいいよ
と言われ、そのときは歩いたら15分と言っていた(と思う)ので歩いたんだけど、なにせ真っ暗で道がよくわからず、もう一度近くのお店のおっちゃんに聞く。

すると、
歩くなんてめちゃめちゃ遠いし危険。タクシーも危険だよ!
と、とにかく「perigroso(ペリグロッソ=危険)」と連発され…どうしよう。と困っていたらおっちゃんが
しょうがない、オレの車で送ってあげるよ
って、なんと!ホテルの目の前まで送ってくれたのだ。お子様も一緒に!

車の中から見る街は確かに真っ暗でペリグロッソな感じ…。

しかも、お金を払おうとしたら、いや、いいよ。と。

紳士!!

彼の名前はAlex。本当に本当に助かりました。

Muchas Gracias!!!

グアテマラはタクシーすらも危険な国なので、こういう人の優しさは本当に身に沁みる。みなさん、気をつけて。


バスでトドスへ向かう

翌朝。バスが何時に出るかいろんな人に聞いてもはっきりわからないので、8時ぐらいにバスターミナルに行ってみると、どうやら10時20分にトドス行きのバスがあるようだ。25ケツァール(約300円)。歩き方にはQ15って書いてあったのにな〜。値上がりしたのか。

それから、メルカド(市場)に入って朝食。ウエウエテナンゴは、中心部は発展しているけれどターミナルはけっこう雑然としている。メルカドもちょっと暗い雰囲気。でも、朝ごはんに食べたスープはとっても美味しかった。


ちょっと、どころじゃなく暗いですね。

それからウエウエの街をブラブラしてみた。



野菜の盛られ方が激しめなのはグアテマラもメキシコも同じだった。


定刻、バスは出発。珍しく座席も指定されているバスだった。

トドスサントスへの道は山道で、途中から舗装されてなくて云々…と、どこかで読んだ。確かに最後は舗装されてなかったけれど、ほぼ舗装道路を走っていたし、あまり気にならなかった。周りはかなりの山々で、絶景!

グアテマラに来て以来、窓から眺める景色が新鮮。私は田舎というものをあまり知らないので、連なる山々や家畜のいる風景が、なんだか現実のものとは思えない。

バスで2時間半くらい。トドスへ到着!

来たよ来たよ、本当に噂通りだ!何が噂通りかって?…後半へつづきます。

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(May 6, 2013)


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